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 ・・・・・・

 その先に何を見ようとしたのだろうか。

 言葉こそ出さなかったものの、赤い魔術師の顔は驚愕の色を完全に隠せてはいない。

 彼の反応に不自然な点は無い、むしろ至極全うな反応。

 歩く教会の効力が無効になっている事は、ここにはいない仕事仲間の刃が通った事で分りきっている。
 なのでインデックスが傷を負ってまで上条に警告を出しにいった
 目的地に(自室に)あるであろうフードも当然、
 効力を失って入るのだと彼は先程までそう思っていた。


 単純に、歩く教会のマナが消失していたから。
 しかしこの単純が曲者だったりする。


 魔術師にとってマナの感知は、多少ソレに意識を傾ければ過敏にもなるが、
 感知出来る人間にとってのマナの立ち位置というのは普段の生活の中で得る情報、匂いや音の類のソレに近い。
 まして追う側の人間。

 鈍感になる事も―――怠る事も―――まず、無い。

 それはまずあり得ない。

 マナを消す、隠密に特化した術式はあるにはある。
 しかしそれですら注意深くさぐってゆき、正確な場所が分からなくとも、何かしらの揺らぎ、不自然さを感覚的に抱くものなのだ。

 それが一切なかった。

 少年が炎の渦から現れ、その手の中に当たり前のように姿を現したフードと、
 先刻まで完全に無かったマナが現在では当たり前のように確認出来るこの不気味さ。

 もはや尋常ではない。

 目の前の、
 不可解な事をこともなげにやって見せた少年は歩き出す、
 まるで横断歩道を渡り来るかのように、
 相手に思考させる暇を与えないように、

 願わくば……冷静さを欠く事を祈るように。

「Squeamish Bloody Rood!<吸血殺しの紅十字!>」
 唱えながら両手を広げ大きくのけぞり、腕をクロスさせるように勢いよく振り下ろし
 なぞった軌道と同じ形をした炎の塊を少年へと放つ。
 その魔術師の反射速度は迅速で、相手の進行を拒むもの――――というのはありのままを語っただけになるが、
 その行動の中に見え隠れする二つを少年は微かに窺う事が出来た。それは生理的に受け付けないとする、嫌悪と忌避だ。

「効かねぇよ。」
 上条は二度と轟音にすくみ上がる事はなく。
 飛んできた炎の塊をホログラムでも見ているような脱力した――――しかし素早いその手の動きで歩く教会のフードを当てた瞬間、
 炎だったモノは大気に解け消えていった。

 二撃目が飛んでくる。粉砕。
 次弾が飛んでくる。粉砕。
 上条は止らない。

 激しくなりつつある相手の攻撃に対し、かくいう受けてである
 当の本人が思っていたことはというと

 ビリビリの攻撃に比べれば楽だなー。



 重油が滴らんとするような黒赤たる大剣で斬りつける。

「MTWOTFFTOIIGOIIOF<世界を構築する第五元素の一つ、偉大なる始まりの炎よ>」

 何かの詠唱を始めながら魔術師は尚も攻撃の手を緩める事はない。

 日本には寓話で、ある日突然―――人が姿を消す「神隠し」と言うものがあるらしい、・・・まさか、それをアレンジして術式に組み込んだのか。
 だとすると、彼が持っていた鞄に組み込まれていた事になるのか?この奇術師は魔術というものが、どういうものなのか知らなかった。
 では、偶然にも地脈的な要因が重なった?無くは無いかもしれないが、偶然にするにはあまりにも悪趣味だね。
 ホントは魔術師なのか?
 そう仮定した方が動揺も少なくて済みそうだ、そうなるとこの都市全体を通しての地脈を完全に把握していなければ、
 それに移動毎時に対応するシンボルを……ダメだ、僕には専門分野外だ。

 しかし、それだけで十分だ――――。

 魔術師は魔術師で、上条がたやすく己の炎を打ち消している間、頭の中で言葉の羅列をツラツラと垂れ流し、
 目の前で少年がやって見せたトリックを自分の分野で分析し、型にはめ込もうとする事で、平静を保っていた。




 やっぱりだ、思った通り切羽詰っていやがる。
 多分、今唱えているのがアイツの最後に取っておいてあった切り札だ。と、そうあたりをつけた上条は
 絶え間なく襲いかかる炎を次々と大気に胡散させてゆく。

 粉砕っと。
 この魔法のフードを当てるとアラ不思議ってな。速度は上がってくるが、攻撃が単調になってきているな。
 ・・・・・・完全にパニクってる、たたみかけりゃいけるな。悠長にダラダラやってる暇は無い、一撃ぶち込んで終わらせる。

 上条の右の拳は相手を吹き飛ばさんと強く強く握りこみ、その足の歩みは走りに変わった。




 得体の知れない弾丸が飛んでくる。

「IIBOLAIIAOEIIMHAIIBODIINFIIMSICRMMBGP
<それは生命を育む恵みの光にして、邪悪を罰する裁きの光なり。
 それは穏やかな空腹を満たすと同時、冷たき闇を滅する凍える不幸なり。
 その名は炎、その役は剣。
 顕現せよ、我が身を喰らいて力と為せッ!>」


 ――――要は、フードではなく『彼』に当てればいい。


 詠唱の終わりを告げるように男の内側から
 人の形をした様な炎の塊が飛び出した時の勢いそのままに、
 上条めがけて飛びかかってきた。

「無駄っつって――――!」
 ボスッと。相手の切り札を粉砕ざま、最後の踏み込みと同時に上条は殴り――――かからなかった。

 粉砕後の硬直はほんの数瞬だった。
 上条は進み掛けた足を無理やりにバネに変えて思い切り飛び退く。

 その上条の動作とほぼ同時。否、数瞬遅れて先刻飛び散っていた、人型だった炎のカケラが高速で逆再生でもしたかの様に、
 そこがあるべき場所と言わんばかりにぶつかり合い、

[先程まで上条が立っていた場所]に巨大な十字架を携えて再び姿を現した。


 不意打ちを回避する事は出来たのだが、すぐに上条は自由を奪われる事となる。

 再び姿を現したソレは隙を与える間もなく、
 その手に持つ、
 触れるモノはみな塵に帰さんとする嚇赤たる十字架を叩きつけてきたからだ。

 その一連の素早い動作を見切ってかわす程の心の余裕が、
 まだ動揺の残る状態の上条にありはしなかった。
 癖となっている動作で・・・・・・といっても今は左手だが、歩く教会を盾に使う事が出来ただけ上等である・・・・・・。

 少年の握る絶対の盾に巨大な十字架はのしかかってくる。


 粉砕する前からふとした疑問があった。
 魔術師の詠唱に関する言葉について、学校の成績ギリギリの上条には何を言っているのかさっぱりだった。
 しかし男が先ほど繰り出してきた人型の炎を出す時に唱えた詠唱は、
 長いわりには傍から聞いていてもそれ以前に唱えていたモノのような[何かの言語っぽくなかった]こと。

 それだけで、
 今までのモノとは違い、ソレはホントに切り札なんだなと上条は判断していた。
 それなのに、その切り札がいとも簡単に四方八方に飛び散った事なのだが

「消え失せた」ではなく「飛び散った」のだ。

 今までとの相違を捉えた瞬間、上条はたった一つ「勘」と呼ばれるそれを頼って飛び退いた。
 少年は全てを読みきっていたわけではない、現状がそれを物語っているわけでもあるのだが・・・・・・。


 ――――くそぉお!やっぱりまだ罠はってやがったかあの野郎!!


 動揺から一転、すぐに怒りに傾け腕に力をこめていたが、先程からフードを押し当て続けているというのに
 一向に消え失せる気配が無い。それどころか徐々に上条の腕が押されてきていた。

 コレッ・・・もしかして再生し続けているのか!?


「――――何!?もうひと――――!!!!」

 それは少年が相手の切り札の性質に気付き始めた時だった。


 その魔術師の声は、十字架を押さえる事で精一杯の少年にかけられた言葉ではない。
 上条自身、振り向く事は出来なかった。
 だが、顔の傍を物凄いスピードでナニかが飛んでゆく風切り音と
 その後に響くコンクリートを打ち砕く衝突音と破壊音が、視認出来ない少年の鼓膜に飛び込んだ。

「動くな!!特別風紀班だ!!今すぐに能力を無力化しろ!!次は確実に当てるぞ!!」

 そろそろ腕の限界が近く、
 次の手もなく頭が回らなくなってきた上条にして
 後ろから聞こえてきたのは、どこか聞き覚えのある声。

「お~い、ニホンゴわからねぇのかぁ!?ぁあ?
 Special City Squad(特別風紀班)っつってんだよ!!聞こえねぇのか!!」

 その口調は、ヤクザの様でも地元警察の様でもあったが
 それは下で待っていた筈のタマキの声に間違いなかった。

「その炎で出来た不細工なオブジェ――――って、クソッ!!」
 後方から恐ろしい早さで近づく者の足音と、
 眼前に聳え立つ炎の壁の向こうから新たな轟音が鳴ったのを上条の耳は捉える。

 仕掛けてきたと焦る上条だが、今の状況では既に盾を手放す余裕すらないほどに十字架は目と鼻の先に迫っている。
 マズイッ!!身動きが取れな
「ガフッ!?」
 上条自身の口から不意に声が漏れた。

 力んでいる上条の首は自身のYシャツの第二ボタンにより締め付けられ、
 グイッと首を支点に引き下ろされたのと同時に、
 ソレはまるで重力の方向が下から横へとすげ変わったかのように勢いよく引きずられたかと思うと、
 その身体は通路の外側へと放り出された。

「――――ッ!!!!」
 いま少年がいるのが、真下の地面に足がつくには軽く十五メートルを超していたからこそくる、
 恐怖心でもたらされる驚異的な集中力だったのか、
 それとも俗に言う走馬灯というモノのが作用したかは定かではない。
 が、そのゆっくりと流れるときの中で、
 魔術師が先程まで上条のいた場所を人型の炎の塊ごと大剣で斬りつけていた。





 爆音が大気を揺らすなか、
 地に足がついたのは十何メートルも下の地面ではなくアパートの六階、つまりは一階下の通路だった。
 尻餅をついて咳き込んでいた上条が振り向くと思った通りそこには、
 真夏だというのに学ランに身を包み顔全面を仮面で覆った人物、タマキが立っていた。

「お、おまえ――――」
「現状把握したい。今北産業で頼む」
 言っている事はどうにもふざけているように思われるが、その問いは今この現状では適切であり、
 言葉の強さが真剣さを物語っており、タマキはへたり込んでいる上条に手を差し出していた。

「あいつHENTAIロリコン猟奇ストーカー。
 上にいる幼女をしイプしようとしてる。
 人型のアレから逃げれた。←今ここ」

 差し伸べられた手を掴み、立ち上がりながら
 その質問に魔術師というワードを省いた上条だった。

「おk把握。………それにしても、この有様を上がってくるときに見たときは
 新手のマーキングかと思ったぜ。」
 呆れた様に言うタマキの視線の先に自然と目がいく。
「・・・・・・いつの間にこんなモン貼り付けられてんだ?気付かなかった。」

 この階のあちこらこちらに、妙な記号の札・・・・・・・・・と言うよりはトランプのカード程の大きさの紙が壁や床等に貼られていた。

「ちょっとまて、いま気付いたのか?」
「あ、あぁ・・・・・・。」
「俺が上がる時、二階の踊り場付近から既に貼られてたぞ?」

 轟!

 通路に響く音あり。
 階段の方より姿を表すモノあり。
 もし、人間と同じ位置に目と言う器官が備わっているのなら、ちょうどこちらの存在を確認したような仕草だった。

 上条とタマキは会話を交わす事無く、まさに阿吽の呼吸で同じ方向へと走り出す。

 炎に背を向け逃走を開始した。

「げっ!やっぱ追って来やがった!」
「モテモテだなお前、文字通り熱烈アプローチで見ているこっちが妬けちまうぜ」
「ハァ!?」
「上条アレはお前に譲る、さすがに間を割って入れる程空気が読めない人間ってわけじゃないからなオレも」
「フ・ザ・ケ・ン・ナ!!あんなのに抱きつかれたら焼かれる前に灰になるわ!」

「ってかなんでこんな状況で呑気な事が言ってられるんだ!!」と、
 逃げながらタマキに発言出来る余裕がある時点で、実は当の本人も呑気なものだと自身が気付いていなかったりするわけで。

「冗談抜きでヤバイんですけどキモイんですけど速いんですけど」

 人型のソレと上条達との距離が縮まってきていた。

「そりゃ足ねぇもんな、浮いてるし。あっそうか、マリオに出てくるテケテケの類だきっと、そうだ、そうに違いない。
 上条、試しに立ち止まって振り向いてみてくれ。そうすれば多分アレは顔を手で覆って立ち止まってく――――」

「俺が亜空間の彼方に吹っ飛ばされるわ常識的に考えて!!ってか、さっきから俺に死ねっつってんのかッ!?」

「さっきからお前さんの両手にぶら下がってるモンは何だ?アホ上トンマ」

「――――ッ!!!!そ、れ、を、」
 一にブレーキ、二に構え、三~四で
「先に言えッ、忘れてたじゃねぇか!!!!」
 振り向き様に右の拳で殴りつけ、そのまま拮抗し、押さえつける形となった。


「グレートだぜ康一、そのまま敵スタンドを押さえつけておいてくれ。
 その間にオレは敵スタンドの本体をたたく。と、言いたいところだが・・・・・・」

 タマキの言い草に上条も気付いた。
 地面が、壁が、天井が、そこら中に貼られた妙な記号の札の付近、大気の揺らぎを見る事ができた。

「なんかヤバくね?」
「言ってる暇があるか!上条!!チビるなよ!!」
「ガフッ!」
 先程と全く同じ扱いで引っ張られる
「・・・――――ッ!ちょっ、ちょっと?ちょっとまてタマキ!!ここ六か」
「知るか!!」

 本日二回目のダイブ、視界から遠ざかってゆく通路まるまる一画がバックドラフトでも起こしたかのような爆発をみせた。
 上条の頭はこれまでの人生の総集編を見せられていた。

「アッー!」

 落ちゆく最中、上条の叫びが響き渡った。
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キチンと推敲してあげる余裕がねぇ……


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血液ゲノムで天然B型と発覚
「こ、こいつ…先の行動が読めねぇ(汗)」だそうです
血液ゲノムとか信用すんな。
血液型占いとか信用すんな。
人を信用すんな