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 結果だけを述べるに、彼は『アタリ』を、
 自分は先にあるはずの結果に対して『ハズレ』を引き当てることになった。

 店をハシゴした回数と当たりつきのお菓子の購入総額については、
 お腹の膨れ具合と相まって………正直あまり思い出したくは無い。

 コレが本当の『若気の至り』とでもいうのだろうか。
 この小さな事件簿は唯一タマキにだけは話したことがあったが、
「坊やだからさ」等とテッパンの台詞が返ってきた。

「家宝にする!」と言ってはいたが、果たして今もアタリと書かれた
 あのアイスキャンディーの棒を大事に保管でもしているのだろうか。


 彼、上条当麻とはその一件以来あっていない。


 別れる際に爺さんみたいな説教のような助言の様な……
 平たく言えば「お前は一体何様なんだ?」と言われてもおかしくない様な発言をしたからである。

 その時の自分は最強(レベル5)だったのでまだ1ミクロン程度には
 説得力はあったであろうが、
 それからあまり経たないうちに今のこのザマになったので……
 あの時の何様発言もあり、
 面と向かって彼の前にたつことが出来ないでいる。


 あぁー……人生の中で恥ずかしくて
『無かった事にしたい発言』のランキングをブッチギリの堂々一位で
 自分の中に君臨し続けるヤッカイナモノである。



 この一件をきっかけに、
 一つの希望を見出してすぐまた部屋に籠もることにした。

 それも今度は、人為的に暴走状態を作ってあの情報の渦に飛び込んだのだ。

 ソレは何故か?

 上条当麻のような星に生まれた人間が確かに存在したのだ、
 それはある意味自分にとって福音だったのは確かである。

 つまりは、
 彼のように絶対に近い確率でハズレを引く存在がいるのであれば。
 それは、
 先の予測を常に引っ掻き乱し続ける存在がいるのではないか?
 というなんの根拠も無い仮説が頭の中におっ立ったからである。

 そのどうしようもないその説得力が紙のように薄い仮説の元、
 人為的に暴走状態の波の中から上記の条件の人間を探し出す旅が始まった。



 当時、自分の意思で暴走させている場面に他の人間が
 もし居合わせていたのなら、

 そんなくだらない事になに命張ってるんだ?と誰もが言うだろう。


 当時、自分の意思で暴走させている時に人が居合わせ、
 もしそんな台詞を吐いていたのなら、

「今こそ命の張り時なんだよ」

 と体中から脂汗を滲ませながら
 あの時の俺は確実に言っていただろう。

 人生の中での命の張り時というのは、
 なにも激しい戦いや生命の危機的状況下においてだけ使うものではない、

 静かな戦いだって確実に存在するのだ。




 条件の人間を捜し当てた時にはそれから丸々三日経っていた。
 空きすぎた腹に食べられる物と飲み物をたらふく詰めて……
 気が付いて起き上がると更にそれから四日経っていた。

 後はソイツに合って先を視た筈なのに肘鉄を喰らい、
 自分の力が無意味な事に心の底から喜んでいると
 もう一発喰らって意識を刈られた。

 まぁ、その後は自分としては当たり前と言えば当たり前なのだが
 ……ソイツとつるむことにした。


 つるんでいるうちにコイツの事が知りたくなった……
 まともに今まで友達が居なかったのだから仕方の無い事だった。

 自分の未来を覗き見してしまうような人間と
 本当に『友達』になりたいなんて思う人が、俺の周りには居なかった。

 そんなのイヤだってことは、自分自身が一番身に沁みて判っている。

 皆、恐怖の目で遠巻きに見ていた、
 悲しい事にこれだけは思い込みではなく事実だ……
 覗いてしまったから。

 でもそんな事はもうどうでもいい、
 過去とおさらばできるヤツと出会うことが出来たのだ。


 最初は力が通用しない事に喜んだが、
 それから半月ほど経ったときソイツの先がチラつき始めた、
 それだけではなく、ソイツに関する過去のことも……。

 能力開発施設で再検査した結果、出てきた結果はレベル0。
 その後も何度と無く検査を繰り返したが、結局結果は変わる事は無かった。


 公表されはしなかったものの、
 その日オレは正式にレベル0と診断が下され、
 レベル5の称号を剥奪された。


 レベル5からレベル0へのレベルダウンなどと言う事例は
 今でも250万人の学生が居るこの学園都市において
 自分以外に未だ例が挙げられていないでいる。


 それからほどなくして研究者の間でも、その稀有なケースの扱いもあり
『変質者(カウントダウン)』と呼ばれているんだとかいないとか……。
 ただ、そう呼ばれてはいるものの、脳開発の『研究者』達が主眼においているのは


『どうやれば能力者のレベルを上げることが出来るのか』であって


『なんでコイツだけレベルが下がったか』


 という事にいちいち真相究明する研究価値は皆無なのだと言ったとか言わないとか。

 まぁ、そんなものを解明するよりも。
 当時話題沸騰中の 鈴科 百合子 に研究者達は釘付けだった という事もあり

 つまるところ研究対象外、である。
 なにせ250万人中この現象が起こったのはたった一人だけなのだから。



 俺に言わせりゃそれこそ俺のような特異点の研究の方が――――って、まぁいいさ。

 それでも、そのたった一人はそれで幸せだった。



 自分の能力が『変質』し、能力の対象がお前だけになっている、
 という事をタマキに洗いざらい全て話したんだが、
 言われた当の本人は
「あっそ…で?
『自分の中にある一等輝くそのの苦悩や苦労や不幸を背負って
 ここで朽ちてあの世に旅立とう』とか
 言ってくたばるってんならお好きにどうぞ。
 ま、そんな簡単にくたばれるんならコチラは大歓迎だが。
 ただ、耐え続けることが出来るのであれば、
 別にお前さんのその苦悩のはけ口ぐらいにはなるが?」


 あの時、
 自分が頭を抱えているのってそんなにちっぽけなものだっけ?と
 一瞬錯覚したのを覚えている。
 確かに、ここまでやって来たのだ…そう簡単に首を括ってやるつもりはない。


 あの夏の日は只の偶然だったのだろうか?
 それとも必然だったのだろうか?
 自分では分からない。
 今となってはどちらでもよいことである、
 あの時地味な自分の人生と
 ある二人の人生が交差した事は確かである。





     あの時、交差し離れていった一つの線は結局のところ同じ角度で離れていった

        しかし……またあの日から再びその線と交わる時を俺は知っている


          いま一度、運命というクソッ垂れな振るいに手を伸ばす

             今度も神頼みでなく ハズレ を引くために



                    ――必ず――
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 250万人程の学生が暮らす、ここ学園都市。

 能力開発という、昔の人が見たら肝を抜かれるような現象を一個人が操ることが出来る存在を作り上げた結果、能力者が生まれた。

 今、この学園都市のトップに君臨する能力者は7人。

 以前のままなら、その能力者の数は8人になっていたであろう。

 不慮の事故が起こったわけじゃない。

 死んだわけじゃない。

 逃げたわけじゃない。

 消されたわけじゃない。

 追放されたわけじゃない。













 苦労して手に入れた能力ではなかった。

 能力が開花した時点でレベル5という現時点の能力開発の分野で最高の称号とでも言うべき烙印を押された。


 苦労して手に入れた物は無かった。

 学園都市からの月々の支給額は子供には到底使い切れるものでなく、衣食住に困る事は無かった。


 未だ見ぬ先が分かる。

 最初はそれが世界で一番に素晴らしい事なのだと信じて疑わなかった。上の人間に頼まれ、
 子供に世界情勢を……否、時流を掌握させていたというのは今思えば滑稽でならないが、


 一度もそのレールが外れることは無かった。

 天気、事件、株、確率のセカイにおいても例外ではなかった。


 
 本当に些細なコト――――――――。

 今までやっていないコト―――――――。

 当たり前に思うコト――――――――。

 ――――――――ふと思ったコト。

 今までやってきたコト――――――――力を行使する対象は『物や環境』。
 今まで何でやってこなかったのか?行使対象を『マクロ』から一個人の『ミクロ』にするコトを。

 多分、無意識が危険を回避していたのではないだろうかと思う。
 でも気付いてしまった。
 対象となる実験体は自分。


 一度もそのレールが外れることは無かった。
 最初に見たのは人生の終着点だった。
 無残な死に様、犬死に近かった。
 あまりにも精神的ショックが強烈過ぎた。
 今まで外れたことの無い自分の能力にこれ程絶望した事はなかった。
 その事柄を皮切りに、能力が一人歩きし始める。
 気にとめたモノ、気にも留めていないどこかの先を見るようになる。
 それから、この呪われた能力は自分を苦しめた。

 締め切った部屋の外から上の使いの車の音が聞こえてくる。
 もうやることは済ませているのでベットの上から動く事は無い。
 これから起こる先の先の先で依頼されるその『先の内容』を書いた紙は玄関ポストにすでに挟んである。
 ドアは開かれることは無く、引きこもる。
 コンビニで食料を調達するのはもちろん店員以外誰とも接触する事の無い時間帯である。

 頭が狂ってしまう。
 当時の頭の中身を覗いてみるとこうだ。

 全ての先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先ノ先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先ノ 
 先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の先の
 先の先ノ先の先の先の先の先ノ先ノ先ノ先ノ先ノ先ノ先ノ先ノ先ノ先ノ先ノ先ノ先ノ先ノ先ノ先先先先先先先先先先先先先先先先先先先先先先先先先先先先先先先先先
 先先先先先先先先先先先先先先先先先先先先先先ササササササsササササササaサsasasasasasasasasasasasasasasasasasasasasasasasasasasasasasasasasasasasasasasa
 sassssssssssssssssssssssssssssssssssssssssssssssssssssssssssssssssss..................................................................................
 ........................................









 と、簡単にするとこんな感じ。
 実際狂っていたことは間違いない。
 一番近い例えで言えば、 宇宙ヤバイ である。

 部屋に立て籠もるそんな生活が一年程たったある日そとへと出た――――――――遺体袋に包まれて――――ではなく。
 よく首を括らなかったなと思う。
 多分、クトゥルフに出てくるそれらと出くわしたとしても生きている。
 実際、自分以外は全員死んだ。といっても、すぐ命の絶ったわけではないが 結局 だ。


 確かに自分の未だ見ぬ軌跡を知ってしまったではあるのだが、それを糞真面目に紙に書き留めなかった事が救いの第一歩だったのかもしれない。
 普通の人間の記憶というものはあまり当てになる物ではなく、ひたすら部屋に籠もっているにも拘らず、
 ひたすら自分に焦点を合わせない様に暮らしていたお陰で自分や対象物の先を見続けることは無くなり(ここが一番普通ありえないオカシイ部分なのだが)、
 気付けば自分の大体の軌跡は忘れ去られ、自分なりにこの最悪で最低で糞ッ垂れなこの能力をコントロールする事が出来る様になっていた。

 他から見ればご都合主義。

 そう言って貰って差し支えないが、それが出来なければ確実に死んでいたであろう――――なんて言うと自己言及のパラドックスなんてものが起こるわけなのだが、
 本当に先の事の殆どを忘れることに成功出来たからこそ吐ける台詞でもある。




 一年という、耐え難く、果てしなく、長く感じられた部屋の中から抜け出してみると世界はナニも変わっていなかった。

 変わったところがあるとすれば、一年前まで疲れ果てていた近所のアスファルトが綺麗に舗装されていたくらいのものである。

 つまるところやはりとでも言おうか、それでも世界は回り続けるといった感じである。

 誰も見てくれてはいないのだ。

 そんな、人なら誰しもが当たり前の事だと吐き捨てる台詞を、
 能力を通してではあるが一番見てきた筈の自分が今頃になってその事に気付き自嘲的な笑いが口から零れたのを覚えている。

 その通りであった。そんな当たり前のことに辿り着いて今までの自分が物凄くバカらしくなったついでに吹っ切れた小学生の夏であった。


 前置きが長くなってしまったが、話はそれで終わりではない。


 小学生にしてはマセタ悟りを悟った糞餓鬼の昼下がり、
 そのまま清清しい気持ちのままに公園に足を踏み入れると同い年の少年達が一人の少年と向かい合うように罵声というか気持ち悪がっていたとでも言うか、
 傍目に眺めていてあまり気分のいい光景ではなかったことは確かである。
 その対象となっていた少年も気持ち悪がられるのも仕方が無いような節があった。

 目の前に立ち並ぶ少年達の罵声に対して何も聞いていない様子――――というより、一切の思考と表情の回路を断ち切っているように見える。
 それは彼なりの防衛手段だったのだろう。
 それに目が死んでいるのだ。とてもじゃないがアイスと飴があればそれだけで世界は素晴らしいのだと心を躍らせる自分と同じぐらいの歳の子がしていい目ではない。

 近くの土手に腰を下ろしその様子を眺める傍観者に徹する事にしよう。ちょっと試そう。
 周りには他に子供達が居ないな……。
 おそらくは、今日の日付に行事的なモノは無し+(プラス)天気に気温は良好そのものその他諸々を考えるに元はいたのだろうがこの雰囲気に退散したのだと『思う』。

 良し、視えない。良し、良し、視えない。

 簡単に言うとテンション上がってきた。


 一年の成果を噛み締めながら
 その様子を一分も眺めないうちにジャイアンのケツに汚くこびり付いて離れない糞の一個がコレは見世物じゃないからとっとと失せろといった旨をオレに言ってきた。
 視線をその糞に向けたが、糞と会話を成り立たせることの出来る人間なんてこの世のどこを探してもいないので
 自分もその事例に従ってまたジャイアンと少年に視線を戻す。
 その様子にジャイアンが気付いたらしく、先刻ケツについているソレと同じ事を言ってのけた。
 なるほど、糞にはジャイアンが言いたいことを代わりに先に伝える機能があったのかと感心した。
 ジャイアンは9人でどうもその少年に制裁という名のタコ殴りをしたいらしい。

 まぁ、そんなことを言われても耳に入っていなかった。

 正直仕方が無いのだ、
 力の抑止が出来た事よる高揚感は小さい一歩だろうがなんだろうが
 絶望からの逃亡の日々の先に身につけた共存の術としてはまだ完璧な自信までの道のりは長いんだろうが
 ドラクエで言えば最初に手にした鍋の蓋とひのきの棒みてぇなもんだろうが
 とうの昔に積載超過で潰れて諦めた筈の心の荷が確かに滓かに極僅かに軽くなったのだから。

 周りの言葉なんかが耳に入ってくるはずが無い。

 これからも精進して、抑止の上達の見返り――――否、一年間の空隙と計り知れない絶望を受けて蓄積された鬱憤という名のキャッシュを全て
 普通に暮らせるという、兆しという希望へと向けて少しずつ消化されるためゆっくりと濁流が自分の中で動き始めようとしていた。

 が、そのまえに

 いつの間にか囲っていた対象が、目の死んだ少年から自分になっていた。
 舌戦なら自信はあるが、めんどくさいので一言。

 群れて尚且つ人目がない所でないと何も出来ないのかジャイアンとその糞ども、お前らそれでも玉ついてんのか?
 大体こういった事を言えばまともなヤツ、もとい餓鬼なりにチープなプライドを持ったガキ大将なら自分を辱めどっか行ってしまうものなのだが。

 あ~面倒くさいぞコレ?なんかジャイアンと糞どもがやる気満々なんですけれども。
 は~、昨今の教育は行き届いているのかねまったく。分かってたけどやっぱ言わせてくれ。



「このド低脳が」



 約三十分後、その場に先刻まで死んだ目をしていた少年と自分だけが残った。
 ジャイアン達を乗せた救急車のサイレンも遠くのほうで微かになる頃、
「なんであんなひどいことをしたの?」輝きと恐怖の入り混じったようなよく分からない表情をした少年が口を開いた。
「今の僕には彼等を無傷で疲れさせて諦めさせて且つ後に報復しようなんて思うことが馬鹿らしいと思わせるほどの体力が無かったから」
「………?」
 目の前の少年の顔を見るに、今言った言葉を一ミクロン程も理解できていないようだ。
「えーっとね。いいかい?つまり、簡単に言うと。君の手を引っ張って、一緒に逃げ出したとするよ?」
「うん」
「それで走り出したところで百メートルもしないう――――えーっと、」そのくらい分かれよ。
「走って逃げ出したところで、少し走っただけで、僕が疲れちゃって、動けなくなっちゃうからなんだよ」
「うそだー。だってあんなにいっぱいたやっつけたのに」
「走るより全然疲れないの、僕にとっては。それにこの一年ずっと家から出てなかったからすぐ疲れちゃうんだよ」
「びょうき?」
「違う、ある意味病気だったけど違う。それより田中商店に行こう?アイス奢るよ」

 そういって近くの商店に半ば強引に連行し、
 子供に見合わず奢られる事を拒んだ少年をこれまた強引に五百円を握らせて「今ここで全部使い切れ!」と強制的な口調で迫った事もあり、
 ようやく観念したように渋々と品物を選び出していたが、後半は十円二十円の差の駄菓子と睨めっこしてそれなりに年相応の子供に戻っていた。
 自分も久しぶりに駄菓子を選定するのだが、商店のおばさんのオレを見る目が気になった。まぁ無理もない。

 商店の傍にある簡易で作られた椅子に腰掛けると袋からお菓子を取り出しちまちまとつつき始める。
「新しい商品でてたんだなぁ」などと一年前には見なかったみょうちくりんな形や味の駄菓子をパクつく
「なにもきかないんだね」その台詞に視線をやると、また不思議そうな顔をした少年がコチラを覗いていた。
「言いたくないなら言わなくていい、聞かない。言いたい事があるなら聞く。
 ただ、助けて欲しい事があんならオレはしつこくオマエが言うまで聞いてくるぞ?
 ま、オマエがそんな発言した時点でアレなんだけどな。
 言葉でいいんなら、いくらでも助け舟なり餓鬼なりの助言や人生訓みてぇなもんをそこらの酔っ払いのおっさんみたいに垂れ流すことは出来るが?」と、
 正面の道路に視線を直しながら駄菓子を食べながらなんのけなしにボケーっと言葉を並べながらつっつき続ける。

 実際その時、彼にはオレがどう映ったのかは知らないが、淡々と今までのこと、自分の体質のこと、自分の周りに居る人間の反応を語りだした。

「ちょっと待て、そいつは只の思い込みじゃないのか?」
「あけなくてもそれが『ハズレ』だってわかるんだ……いままで一回も当たった事が無いから」そう言って少年は
 自分の駄菓子の袋(今気付いたが全部あたりはずれ付きの菓子ばかりである)を全部あけて見せた。
 全てハズレ。

 いやいや、判断材料が少なすぎる。

 ちなみにオレの選んだものは『選定』しているのでつまるところ全て当たるようにしたのだ、
 ほら、今食べかけのアイスキャンディーの棒の端から当たりの文字が。

 少年がその文字を見つめているのに気付いたその数秒後、ツキイチ毎度の発作のように自分が物凄く嫌になる仮定に行き着いた。
 目の前の少年のように自分も只の思い込みと、それにプラスしてツケアガリの塊のような仮定ではあるのだが。
 自分が他人の幸福という名の、事象の中で起こりうるソレを奪っているのではないだろうか?と
 しかしこの時、これは自分の『力』を行使して掴んでいるモノであって、
 インチキじみたものは何一つ無いと正当化できるという考えとは逆の意見の方が自分の中で勝ったとき、椅子から立ち上がっていた。
「………?」
 キョトンとした顔でオレを眺める少年へと視線を向ける、その二つの眼に――――。


「………………………………………」

「………あ、あの……どうしたの?」

 駄目だ……。
 言えない。言える筈が無い。
 レールが一度として外れたことが無い。
 オレのこの糞ッ垂れな『力』は無慈悲すぎる……一片の欠片すら!!腐ってやがる!!狂ってやがる!!オレなんかもう死んじまえ!!!!

「………………………………………」

「…………………だいじょうぶ?」

 いやいやいやいやまてまてまてまて………。
 待て。落ち着け、オレが今までやったことが無いことは何だ!?
 今までオレが表に出してきたことは、つまりは一度でも紙や言葉として表に出してきたことに対しては外れたことが無い。


 先刻までの浮かれた気分が全てぶち壊されたことは言うまでも無い。

 目の前の少年の先を見て、少年が話した体質は確信した。

 オレはレールが一度として外れたことが無い。

 お互い『絶対』が付いてまわる。


 ―――――――――――――――――――なら。

「え?あぁ大丈夫だよ。えーっと、俺の名前は 吹野 浩昭。キミ名前なんて言うの?」
「え?かみじょう とうま」
「よし。トーマ、ちょっと付き合え」
 言い終えないうちにトウマの腕を掴んで歩き出す。
「あの、ひーろー!どこ行くの!?お菓子置いてっちゃうよ!?」
「いらない。そんなことよりオレとオマエの人生にテロを起こすぞ」そのままズンズンと手を引いたまま歩いてゆく
「ひーろーなんか怖いよ。てろ?なにそれ?それにお菓子が――――」
「アレはどうせ二分後にあの店に立ち寄った餓鬼共が綺麗さっぱり食った後にオレの買った全部のお菓子のアタリを使っ
 て結局は一袋またアタリを出す、それだけだ」
「へ?なにいってるの?」
「オレの能力はレベル5の未来予測だ」
「れべる5!?」

 ここらだとコンビニまでちょっと遠いな。だからといってタクシー拾えないし――――って。

 なんでこの先でタクシーが一台も拾えないなんてわかるんだ。……また暴走したか。

 ………あーーもう。あーーーーもう。
 あーーーーーーー糞ッタレ。気分わりぃ。

「オマエ自分は不幸な存在なんだとか言っていたな?オレも大して変わらねぇんだよ」
 そう言い放つレベル5の後ろから引きづられるトウマの視線の先には、自分を呪い怒り狂う人間の背中がチラつき始める。
「もうこりごり、うんざりなんだよ。先を……未来を見た事が一寸違わず外れた事が無い」
 その淡々と静かな口調にはいろいろな不の感情が詰まり過ぎていて、
 必死で抑えている口から零れるその滓かな毒素でさえ、充分に周りの空気を蝕むほどの呪いがあった。
「ちょっ、ひーろー!いたい!」
 その声に少し我に返った吹野は「……すまん」と腕から手を離しそのまま振り向きもせずに歩くのを止めない。

 開放されたトウマはその吹野の横を並んで歩く。
「で……でも、みらいがわかるってすごくラッキーなんじゃないの?」
「オレの力は、一人の女が手に持った硬貨を弾いて表と裏のどちらが出るかが分かっちまう。
 その先を見ようとすれば、そのお金を自販機に放り込んで熟考した挙句に、結局は商品を買わずに返金する所まで当たっちまう。」
「す…すごいことじゃな」
「今言った未来の先に、その女が『誰かに一方的に惨殺される場面を視た』と言ったらどうだ?」トウマが言い終らないうちに鋭く斬りこむ。

 ようやくトウマも吹野の能力の残忍性に気付いたらしく言葉をなくし俯いた。

「見てしまうのに、分かっているのに、その女がどこにいるのか分からない。
 常盤台の制服だから此処の人間で未来の出来事なのは分かる。っといってもちゃんと視たわけじゃないから正確な日付までは分からないがな。
 さっき、一年間部屋から出なかったって言ったろ?」

「うん……」

「能力が暴走でもしたみたいにところ構わずに気を失うまでいろんな物や人とかの先が絶え間なくすごい速度で通過し続けたんだよ。
 それに先刻言った事は常に起動しっぱなしでいろんなモノを視つづけた膨大な情報の中の一片でしかない。さすがに全ては覚えていないけれど……………膨大過ぎたから逆に覚えることが出来なかったともいえなくも無いか。」

 後ろのほうは独り言になって、なにか考え事をしているようであったが、会話が止まっていることに気付いたようで話を続ける。

「ようは名前も知らない、何か悪いことをした訳じゃない、普通にただ暮らしていただけなのに……救えない。
 唯一救える方法はその人間に会って話をしないといけない、信じてもらえるとは思えない、
 だけど救う方法を持つのは唯一その頼りなくて紙みたいに薄っぺらい言葉だけで、世界中で悲劇が起こるのは一人じゃないのに、知ってしまった俺の身体は一つだけ。
 トウマのように……自分に降りかかってくる不幸じゃない。だからオレは、不幸なんだと声に出して嘆く事すら許されない。」


「オマエにこの不幸が耐えられるか?」


 足を止めることも視線を向けることせずにそんな事を言ったって答えが返ってくる筈が無いことは分かっていた。
 ただ…不幸を嘆いている、自分とは真逆の少年が目の前に現れたからこそ、ここまで気付けばぶちまけてしまっていたのだ。
 これから先、自分の不幸を声高らかに叫ぶことが出来る彼が、ただただ羨ましかったのだ。
 そりゃ普通の星に生まれた方が良かったに決まっているが、オレとトウマの身体のどこにも人生のリセットボタンなんてもんは無い。

 目的の『カード』が使えるコンビニの前に到着した。

「オレが選んじゃ意味が無い」そう言ってトウマにカードを手渡す。
 それをおっかなく受け取った少年は「……もしかして」と今から何をおっ始めるのかどうやら察したようだ。
「そうだ。他でないオレとオマエじゃないと駄目なんだ。オマエはアタリを引いたことが無い、オレは外したことが無い、お互いに嫌な能力だ。――――なら。」
 そう言って、先程まで口調に感情は滲み出ても表情だけは感情の欠落を思わせるような冷徹な顔がここに来て始めて歪みだし、内にある激情を発露させた。
 自身の持っている全ての殺気という名に近い気迫を込めてレベル5は放つ。


「今日はその糞ッ垂れな互いの幻想をぶっ殺す!!」


 お互いの呪いを、手始めにその少年が言葉で殺した。


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趣味:
コレといって固定はないです
自己紹介:
超弩マイペース。
自分のペースを乱されると拗ねて
寝ます。
血液ゲノムで天然B型と発覚
「こ、こいつ…先の行動が読めねぇ(汗)」だそうです
血液ゲノムとか信用すんな。
血液型占いとか信用すんな。
人を信用すんな