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「うぅぅぅぅ………」


 呻き声は仄暗い男子寮の底から聞こえてくる。
 辺りは黄昏時を過ぎ、夕闇へと街の景色が移り変わろうとするさなか、
 自転車置き場に備え付けられた街灯とまだ幾ばくか残る微かな日の光を受け、四つん這いになり地面と対話する者がいる。


「うぅぅぅぅ………うぅ、怖かったよ~」
 例によって上条当麻その人である。

 先ほどから立ち上がろうと地面に………彼の頭の中では突っ張った足を踏んじばって立ち上がろうとしているのは見て取れるのだが、
 あまりにも見るに耐えない姿で涙を誘うものがある、
 もし彼が生まれたての子鹿であったのなら、感動の涙を誘っていたに違いない。
 そんな彼を見て「立てるか?」等と、傍に立ち………他人事のように言ってのける仮面の態度は対照的だ。 

 同じように落ちたのに、この差は一体なんなんだ!?まだ体が言うことをきかねぇ!!っつか傍から見て物凄い惨めだぞオレ!
 オイ俺!!言うこと聞けよ俺!!と自身に喝を入れること数秒。
「………だめぽ」
「だよな――――」


 ズパン!!!!


「アッッッ――――ガッ!!!!」 

 辺りには大気を震わす鞭の如き乾いた響きを、彼には不意に背を刺す痛みが走ったことだろう。
 それ程にタマキの平手を凄まじく深く重く体の芯にまで届くように感じたのは、
 まさに不意を突かれての油断に因るものなのかということは上条自身どうでもいいことであった、単純に痛かったのだ。
 おかげで彼は二本の足で立つことは出来ていたのだが………ゆうに3~4秒程の間、未だ発見されていない新種の脊椎動物とでも言わんばかりに
 反り返っている様子をビジュアル的に事細かに言葉を並べることはどうでもいいことであった、単純にキモイ。

「………もうチョイ、も~チョイでエクソシスト」
「ふざけんな!めちゃめちゃ痛かったぞ!こんバカァ!!」反った体をコンパクトに戻すのと同時に
 人差し指をこちらもコンパクトに相手に向けて指差す彼の目は潤んでおり
「江頭乙」
「――――………」その間髪無い一言で怒りが萎んでしまった上条だった。

 タマキの馬鹿さ加減に呆れてモノが言えなくなってしまっていたのも一つの要因ではあったのだが、
 彼の口を噤ませたのは目前の落下地点周辺の地面が割れていることのほうが大きかった。
 冷静に考えてみれば彼らは寮の六階から飛び降りたのだ。考えるまでも無く死ぬ高さだ、しかも地面はコンクリートときている。万に一つも無い、普通なら。

 急に体の感覚、主に痛覚が麻痺しているような錯覚や不快感や焦燥が入り混じったようなものが頭の先から足の先まで隈なく彼の身体を侵食した。
 タマキに叩かれた背中以外に、痛みを訴える部位がまったく無かったからである。
 血の気は引いてゆき、冷や汗の一つも出ない気持ち悪さの中、腕や足が折れてはいないか四肢を触り痛む箇所を探し始め、軽いパニック状態に陥っていた。

「………………………………痛くない」
「ん?もう一発か?」
「イヤイヤイヤイヤッ!……っていうか何故に無傷でいられているのか説明を求めたいのですが」
「コレのおかげ」と、片足を軽く上げ裾から脛辺りまで顔を出した靴を指差した。


 タマキの履いている靴はウェスタンブーツの様な形状ではあったのだが、違和感に上条はその靴を凝視する。
 どうも外見からは[どんな素材]で出来ているのか判別が付けられないという奇妙な靴だった。
 色は黒を基調としたメタッリックの様な鈍い光沢を放ってはいたのだが、
 はたして皮で出来ているのか、プラスチックで出来ているのか、ゴムで出来ているのか、鉄で出来ているのか………。

 どうみても普通の店で取り扱っている靴と違う、ということだけはマチガイナイ。
 それに、さらに目を凝らせば、出会った時から嵌めている手袋も同質のものだ。



 そこで上条は何となく思いついていた。
「………被験者ってソレのことなのか?」
「……小萌が言ったか」質問に対しての答えと言うより、彼のその質問を生むキッカケが誰であったのか答えを得た独り言だ、
 その台詞がそのまま上条に対する回答でもあったが………。

 平常心を取り戻しつつあった上条にはわからない事が他にもある。


「……さっき言ってた特別風紀班ってなんなんだよ?……そんなの聞いたことねぇぞ?」

「突入の仕方が海外の刑事ドラマっぽかっただろ?っつってもお前さん見てなかったからわからないか……」タマキの口調が自慢げになる。
 仮面の向こう側で不敵な笑みでも浮かべているに違いないことは上条にもわかった。
「あんな窮地に出くわしてみろ、一番いい方法は街の治安自治体的な者――――[相手の出方次第では、どのような対処をしても良い]事を許された組織、
 つまりは一人ではなく組織の一人であることを相手に分かりやすく行動でしめすとだな――――」
「つまりアレか?お前が言いたいことは」
「のっけからハッタリ。それより上条、インデックスとはどいう関係だ?」不意にトーンの落ちた声で質問をなげられる
「――――ッ!!!!」


 仮面の口から知り得ない筈のワードが出た瞬間、上条は条件反射でタマキから距離をとるため跳び退き身構えた。


 なんでコイツが彼女の名前を知ってやがる!!?

 通路で倒れているインデックスを捉えた時から今まで頭の中の警報機はなりっぱなしで、

 あの魔術師との戦闘時がピークかと思っていたが……。マズイ、目の前に立つコイツ、お前も――――


「お前もさっきのヤツと同じ魔術ってオカルトを信じてる危ない組織の派閥かなんかか?」

 先に口に出したのはタマキの方だった。

「は?」
「いや………確立は低いだろうが一応確認のつもりで言ったんだが、理解した。お前は俺の敵じゃない事も分かった。
 そして時間も無い、インデックスが危ない。あの魔術ってシステムをどうやってぶっ壊すかだなぁ………」

 と学生寮に顔を向けながら、やはり上条は置いてけぼりにされている様で後ろの方は独り言になっていた。

「ちょっ!!ちょっと待てタマキ!!お前インデックスを知ってるのか!?それに魔術のことも」
「あぁ~、補修の後に道歩いてたら白い修道服着たヤツがいたから話してみたんだよ」
 と、顔を動かす事無く
「………魔術ってのはマジであるみてぇだな、彼女が言っていた事は本当だったのか………。」
 一人ごとの様に呟いた。


 彼女が言っていた事は本当だったのか………――――表情は見えないが、その言葉に上条は顔を顰めた。


 経緯は違えどコイツも俺と同じ、今に至るまで彼女の言葉を完璧に信じてなどいなかった。今となっては手遅れだが。


「おーい、かみじょーーー、なにボケーとつっ立ってんだ?つっ立ってんのは別にいいがお前も頭使え。手遅れになる前にあのロリコンぶっ殺すぞ~」
 トコトコと学生寮側へ歩いて行き何かを拾う緊張感の欠片も無いタマキの声で上条は引き戻される。


 たしかに………確かに諦めるにはまだ早すぎってもんだよな、あの魔術師とインデックスがまだ学生寮の中に居ることが分かっているうちに手を打たねぇと!!
 姿をくらまされたらホントの意味で手遅れになっちまう!!


「このフードはなんだ?彼女の物か?」と指でクルクルと回しながら、拾ったその場でやはり顔は学生寮の二階にいる人型の炎に向けられていた。
「ああ、それはインデックスのだ。歩く教会って名前らしい。さっきあの魔術師の攻撃を防げた」
「なるほど、――――ん?もしかして終始コレで全部防いでた?」
「ああ」
「ナイス、後は目の前のアレをどうやって無力化するかなんだよなぁ~。やり方は解ったけど物が無いんだよなぁ~」
「どういう事だよ?」
「二階の踊り場付近からしか、あの変な[紙]が貼られてなかったっつったろ?」
 タマキの視線の先に目をやる、人型の炎は未だに二階からコチラを眺めている様で『まるで動こうとしない』、それどころか建物の外へすら出ていない。


 上条の口から笑いが零れた。


「ハハッ………。なぁんだ………簡単なことじゃねぇか」
「まぁな。システムは簡単みたいなんだが――――って、オイ!上条!!」
 タマキの横をすり抜け猛ダッシュで学生寮へと上条は駆けてゆく。
「急げタマキ!!良いアイディアがある!」
 後ろで待てだの何だのと言いながら上条の後を追ってくるタマキをよそに目的の場所へと向かう。

 

 ――――私と一緒に地獄の底までついてきてくれる?


 インデックスと名乗った少女の言葉を思い出す。


 バッカヤロウがッッ!!!!
 助けは要らないなんて強がってんじゃねぇよ………大体なんでそういう頭の回り方するのかは、痛いほど想像出来るぜ?
 でもな、
 一人で勝手に世界に絶望してんじゃねぇ!浸ってんじゃねぇよ!!

 オレにだって、手を差し伸べたヤツは確かにいたんだ!人を勝手に見限ってんじゃねぇえ!!!


 地獄?ハッ!そんなもん、土台ぶっ壊せばいいだけのことじゃねぇか!!


 んでもって、あの野郎のニヤケ面に一発叩き込む!!!!


 上条の足と右手に熱が篭り始めていた。

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「アッー!」

 聞きようによっては間抜けなのか、はたまた断末魔なのか判断しかねるドップラー効果付きの叫び声を聞いて
 赤髪の魔術師、名を『スティール・マグヌス』という男は、声の出所から察するにあの少年は生きてはいないであろうとあたりをつけた。
 

「…………あっけなかったな。」
 

 あの少年は追い詰められてパニックでも起こし、一時的に視野狭窄に陥っての結末なのであろうとスティールは結論付けたのだ。
 今まで例が無かったわけじゃない。
 

 それにしても。っと、まだ安堵の表情はこの男の顔に訪れない。
 

 もう一人の叫び声を聞いていない。あの妙な仮面の男
 そう、もう一人残っている………それもあの少年よりも厄介そうなのが。
 

 スティールは額から垂れてきたモノを手で拭う………血だ、鉄球をかわした時に出来た傷だった。
 向こう側で破壊された壁と鉄球に目を向けると、先ほど薄氷一枚で避けたその攻撃の凄まじさにあらためて寒気を覚える
 

 あの少年は良くて『喧嘩の巧いヤツ』だったが、もう一方は少なからず『コチラ側』の場数を踏んでいる人間だ。
 どっかの刑事ドラマさながらに持って回った台詞だったが………躊躇が一切無かった。
 

 次は確実に当てるぞ!!だって?最初から頭を砕こうとしていたクセによく言うよ。
 

 そんな言を男は胸の内に言い放ってはいたが、
 仮面が放った一撃があまりにも剛速球だっため、スティール自身疑問が湧き、歩み寄り、気づけば鉄球を拾い上げて凝視してしまうほどだったのだ、
 

 が。
 

 その鉄球は見た目通りの重さだった。

 学園都市という場所に自分はいるのだという事を踏まえるに、
 破壊力と重さが反比例している様な出鱈目なモノでもこの科学都市は作り上げているのではないか?と、スティール自身少々度の超えた発想であったが、
 どうやらその範疇まで至っていなかったようだ。

 魔術的パターンも伺えなければ、魔力の残滓すら無い。
 まるっきり文字通り、スティールが手にしたその鉄球は、まんま鉄球でしかなかった。
 

 それに加え、少年をぬいぐるみの様に易々と引っ張り扱っていた事を思い出したスティールは………。



 となると、あれは単純に膂力が尋常ではない類の能力者なのかもしれないな。
 

 スティールは状況証拠から、そう解を導き出した。
 

 近づかれると非常にまずいね、だからといって遠距離だとあちらにも手札がある分――――………………………。
 魔術師でもない人間に対して、炎で光を屈折させて蜃気楼を作り、
 離れた場所で待機し、射程に入ったら先ほどのようにその一画を爆破させるという………平たく言えば騙まし討ちをするしかないか?

 と、

 スティール自身、魔術師としては非常に屈辱的だと思ったが、すぐに改め、
 屈辱もへったくれも無い、さっさと仕事を終わらせられればそれでいいのだ、よしそれでいこう。と
 インデックスの元に近づき用意をしようとした矢先に寮全体から警報が数秒鳴り響いた後に降り注ぐシャワー。
 

 一瞬、呆気にとられていた魔術師だったが。
 

 まさかこのスプリンクラーの水でイノケンティウスの追撃を逃れようとしているのかな?
 ……的外れで手遅れだね、ご愁傷様。『超能力なら鎮火させられるんだろうけど、生憎ぼくが行使しているのは魔術だ』
 ま、この建物から無事逃げられたらオメデトウと言ったところか。どちらにせよ、さっさと回収して撤収し――――。

 

 

 ――――――――チン

 

 


 音の出所は今居る階の数字が光るエレベータから。
 

 その音を合図にスプリンクラーからの水飛沫は止み、静寂が辺り一帯を包む。

 イノケンティウスから逃れる事は不可能だ。では誰だ!?まだ誰か居るのか!?まさか、冗談じゃない!完璧に敷いた人払いを偶然突破してくる人間が三度も続く筈がない!!

 静寂――――時間にして2~3秒。


 

 エレベーターのドアが開く。


「頭痛くなってきたぜ」
 そんな台詞を吐きながら、仮面がそこに居た。
 

 おまけにとっくにくたばったと思っていた少年までその四角い箱の中に納まっていた。
 

「馬鹿な!!」
 どういうことだ!!わけが解らない。なぜあの高さから落ちて未だ五体満足でその足で立つことが出来ている。

 ―――――だが。
 

 まだ手札は生きたままだ!!
 

「……イノケンティウス!!」焦りなど微塵も見せずにスティールの声が学生寮に木霊する。
 


 ボッ!!
 

 上条とタマキの後ろで申し訳なさげに姿を現した人の形をした炎は登場した時よりも、一段と迫力も脅威も火力も足りない状態だった。


 仮面を被った男は苦笑交じりに
「ハハッ!おまえさん、自分のスキルに名前つけてんのかよ?そんなのは格闘ゲームだけで十分だっつーの、言ってて恥ずかしくねぇのかよ?
 そっかぁー、イノケンティウスって言うのかコイツ」
 

 そんな人を卑下にでもしたような台詞を吐きながら二人とも普通の足取りで魔術師に向かって歩き出した。
 

「イ、イノケンティウス!!」
 そう叫ぶと同時に二人に襲い掛かってきたのだが仮面がズボンの後ろにでも挟んでいたのか、インデックスの歩く教会をイノケンティウスにぶち当てると
 空しい音を鳴らせながらこの世界から消滅した。
 

「何が起こっている!!??なぜイノケンティウスが弱体化している!!!???
 イノケンティウス!!イノケンティウス!!IIBOLAIIAOEIIMHAIIB――――-」

 魔術師は、なおもその僕なのか召還獣なのかわからないヤツに向かって、何かの言語を世界に振りまいている様を痛々しく思いながら上条が口を開いた。

「テメェが勝手にベタベタ壁に貼り付けてたルーン文字は――――」

 魔術師は未だに呪文をアブラカタブラと唱え続けている、まるで精神の崩壊を食い止める為に行う防護行動とでも言うように。

「ただそこらにあるプリンターで印刷した水性の『水に溶けやすいモノ』だよな」
 ソレを無視するように上条が言い捨てたときには、さすがに魔術師の動きはピタリと止まってしまっていた。
 

「テメェがそのままコンクリに文字彫っていたらさすがにコチラもアウトだったけど――――」
 

 二人同時に、まさに阿吽の呼吸で走り出した。その様はビーチフラッグ、もう向かう標的に誰が先に辿り付くのかといった後戻り無しの全力疾走をみせる。

「下ごしらえがお粗末だったな!!」
 

「ばッ!!――――」対して魔術師焦った声を反射的に出しているようであったが――――
 

 

 いやぁ内心、ほっとしたよ。そこまで素人がたどり着いたことには敬意を表したい気持ちでいっぱいだよ



 その裡にある思いは、笑顔に歪んでいた。
 


 そこまでたどり着いていて、『僕が予備のルーン文字を常備している』という事にまで行き着いていない
 君らはもう詰んでいるんだよ!!おしまいだ!僕の炎剣で灰になるがいい!!
 


 魔術師との距離が10メートル弱と迫ったとき、一秒も待たずしてスティールの懐からカードが――――四方八方へと風が吹き荒れるように壁に貼り付けられる。
 

 その様子にまったく動ずる事無くタマキと上条は速度を緩めることがない。
 

 ……なるほど、そこまでは想定済みということか。だから『手馴れの仮面に[歩く教会]を託したというわけか』残念だったねご愁傷様お気の毒――――
 

 左目に再び血が垂れてきたがソレを拭っている時間はない。
 スティールは左目を鬱陶しく瞑りながら仮面を捉えていた。
 

 魔術師はカードの貼り付けられた範囲3メートル――――つまり、射程距離に入った瞬間に両の手に具現化していた炎の剣を左右から挟みこむように凪ぐと同時に、
 その二人が居る一画を爆発的に炎上させた。
 

 ―――-THE END、――――
 


 

 ぞる


 

 その目と鼻の先程にある炎の壁から、孤を描くように突き出されたフードを持つ左手。
 

 その到達点は的確に『スティールが作り出した残像』に叩きつけられていた。その残像が音も無く消えうせるのを確認しながら、


 ――――塵におかえ―――


 左腕の炎剣を仮面の方へ
 



 











 途端




 光が
 


 左手の炎剣が―――――――。



 マナが――――。



 消え失せる感覚が―――――。

 

 本能的に――――、視線が左を向いてしまった。

 

 スティールの身体に、今度こそ本物の寒気が全身を突き刺す
 


 魔術師の思い描いた光景と異なる映像が飛び込んだ。
 

 少年が炎の中から跳び出した
 


 閉じた目のせいで、伸びているべき炎剣の姿と、少年の全体像を捕らえることが出来ない
 

 身体半分が映りこむ
 


 もはや寒気を通り越し、恐怖が加速
 

 

 なぜ少年の部屋で歩く教会のマナが途切れた       なぜ彼女の歩く教会は破壊された
 どうしてマの字も知らない少年の部屋で         どうやって破壊した        
                    相当に堅牢な筈だ
 破壊確認時、他のマナは観測されていない        そんな筈はない!


 

 

        なぜ少年が持っていたフードは姿を現すまでマナが感知できずにいた 
 

                    どうやって隠した!!!!
 

            少年はフードの入っていた鞄を右手で…………――――――
 

                     ――――右手
 

                         なぜ

                なぜ『二人で仕掛けてきた』


  まずい   まずい  まずい まずいまずいまずいまずいまずいマズイマズイマズイマズイマズイマズイ

 

                           よけ


 

 あるいは、思い切り飛び退いていたのであれば、彼……スティール・マグヌスに勝機はあったのか?


 答えはノーだ。

 

 

 いつもだ。
 そうだいつもだ。
 いや、今回は(高所から飛び降りたせいも手伝って)今までで一番鮮明に甦るあの夏の思い出。


 それは所謂ターニングポイント、開口一発「このド低脳が」から始まった。


 まだ小さかったあの時、オレと同じくらいの歳なのに驚くほどに落ち着きすぎていたソイツは
 大人数を相手どり、一人で全員をのしてしまった。
 レベル5なら仕方が無い、強くて当然だ。

 当時はそう思っていた。

 ………当然だと思っていた。


 でも、ソイツの能力は電気を放ったり精神を操ったりといった、物理的にもしくは直接的に相手に干渉するシロモノではなく、

『観ること』しか出来ない能力だった。


 今でも、昨日のように覚えている。
 オレと同じかそれ以上の『不幸』を背負ったアイツ。


 彼自身は一番幸福に近いはずなのに、見方によっては……いや、彼自身にとって『一番の災厄で糞っ垂れな能力』と断言したソレは
 奇しくもオレと同じ『不幸』という接点でぶつかっていた。
 しかも、超能力を――――持ってしまった体質を――――、逆に忌み嫌っていたという共通点も持ち合わせていた。
 オレの体質的な特徴とアイツの超能力の特性を見比べると180度真逆の方向なのに、
 いや………だからこそ、あの時――――鏡の前に立ったようにお互いが向き合う形になっていたんだ。
 

 でも当時、
 オレには無くてアイツに有ったものがある。
 

 不幸を嘆くことすら許されなかった筈なのに、自分自身の足で立っていたアイツの強さは
 単純に目で見て分かる力による強さ、超能力なんかじゃなかった。
 

 心が強かった、折れない精神力を持っていた。あのとき感じた強さはソレなんだと、時が経つにつれ理解できた。
 

 それにあの時、アイツは能力だけで敵をのしたんじゃない。結局のところ『観るだけ』しか出来ないんだ、ソレを観て何をするのか。
 結局のところアイツにとってもオレにとっても『コレ』は副産物程度のシロモノで、加えて――――
 

 ――――アイツには無くて、オレに有るものがある。
 

 アイツの能力は『観る』ことしか出来ない。
 だが、オレには右手もある。
 

 この右手ってヤツはホントにいい
 

 なんせ『相手の能力をイッサイガッサイ帳消しにする』ついでに
 

 そのままソイツを殴り飛ばすことが出来るんだからな
 

 


 全ての力を一撃に籠み顔面を殴りつける非常に重く鈍い音を響かせながら、
 二メートルを越す魔術師は竹とんぼの様な円運動と共に吹っ飛ばされた。

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 たぶん、ケツの部分は続き上げた時に消してハシリに使うやも
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超弩マイペース。
自分のペースを乱されると拗ねて
寝ます。
血液ゲノムで天然B型と発覚
「こ、こいつ…先の行動が読めねぇ(汗)」だそうです
血液ゲノムとか信用すんな。
血液型占いとか信用すんな。
人を信用すんな