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 結果だけを述べるに、彼は『アタリ』を、
 自分は先にあるはずの結果に対して『ハズレ』を引き当てることになった。

 店をハシゴした回数と当たりつきのお菓子の購入総額については、
 お腹の膨れ具合と相まって………正直あまり思い出したくは無い。

 コレが本当の『若気の至り』とでもいうのだろうか。
 この小さな事件簿は唯一タマキにだけは話したことがあったが、
「坊やだからさ」等とテッパンの台詞が返ってきた。

「家宝にする!」と言ってはいたが、果たして今もアタリと書かれた
 あのアイスキャンディーの棒を大事に保管でもしているのだろうか。


 彼、上条当麻とはその一件以来あっていない。


 別れる際に爺さんみたいな説教のような助言の様な……
 平たく言えば「お前は一体何様なんだ?」と言われてもおかしくない様な発言をしたからである。

 その時の自分は最強(レベル5)だったのでまだ1ミクロン程度には
 説得力はあったであろうが、
 それからあまり経たないうちに今のこのザマになったので……
 あの時の何様発言もあり、
 面と向かって彼の前にたつことが出来ないでいる。


 あぁー……人生の中で恥ずかしくて
『無かった事にしたい発言』のランキングをブッチギリの堂々一位で
 自分の中に君臨し続けるヤッカイナモノである。



 この一件をきっかけに、
 一つの希望を見出してすぐまた部屋に籠もることにした。

 それも今度は、人為的に暴走状態を作ってあの情報の渦に飛び込んだのだ。

 ソレは何故か?

 上条当麻のような星に生まれた人間が確かに存在したのだ、
 それはある意味自分にとって福音だったのは確かである。

 つまりは、
 彼のように絶対に近い確率でハズレを引く存在がいるのであれば。
 それは、
 先の予測を常に引っ掻き乱し続ける存在がいるのではないか?
 というなんの根拠も無い仮説が頭の中におっ立ったからである。

 そのどうしようもないその説得力が紙のように薄い仮説の元、
 人為的に暴走状態の波の中から上記の条件の人間を探し出す旅が始まった。



 当時、自分の意思で暴走させている場面に他の人間が
 もし居合わせていたのなら、

 そんなくだらない事になに命張ってるんだ?と誰もが言うだろう。


 当時、自分の意思で暴走させている時に人が居合わせ、
 もしそんな台詞を吐いていたのなら、

「今こそ命の張り時なんだよ」

 と体中から脂汗を滲ませながら
 あの時の俺は確実に言っていただろう。

 人生の中での命の張り時というのは、
 なにも激しい戦いや生命の危機的状況下においてだけ使うものではない、

 静かな戦いだって確実に存在するのだ。




 条件の人間を捜し当てた時にはそれから丸々三日経っていた。
 空きすぎた腹に食べられる物と飲み物をたらふく詰めて……
 気が付いて起き上がると更にそれから四日経っていた。

 後はソイツに合って先を視た筈なのに肘鉄を喰らい、
 自分の力が無意味な事に心の底から喜んでいると
 もう一発喰らって意識を刈られた。

 まぁ、その後は自分としては当たり前と言えば当たり前なのだが
 ……ソイツとつるむことにした。


 つるんでいるうちにコイツの事が知りたくなった……
 まともに今まで友達が居なかったのだから仕方の無い事だった。

 自分の未来を覗き見してしまうような人間と
 本当に『友達』になりたいなんて思う人が、俺の周りには居なかった。

 そんなのイヤだってことは、自分自身が一番身に沁みて判っている。

 皆、恐怖の目で遠巻きに見ていた、
 悲しい事にこれだけは思い込みではなく事実だ……
 覗いてしまったから。

 でもそんな事はもうどうでもいい、
 過去とおさらばできるヤツと出会うことが出来たのだ。


 最初は力が通用しない事に喜んだが、
 それから半月ほど経ったときソイツの先がチラつき始めた、
 それだけではなく、ソイツに関する過去のことも……。

 能力開発施設で再検査した結果、出てきた結果はレベル0。
 その後も何度と無く検査を繰り返したが、結局結果は変わる事は無かった。


 公表されはしなかったものの、
 その日オレは正式にレベル0と診断が下され、
 レベル5の称号を剥奪された。


 レベル5からレベル0へのレベルダウンなどと言う事例は
 今でも250万人の学生が居るこの学園都市において
 自分以外に未だ例が挙げられていないでいる。


 それからほどなくして研究者の間でも、その稀有なケースの扱いもあり
『変質者(カウントダウン)』と呼ばれているんだとかいないとか……。
 ただ、そう呼ばれてはいるものの、脳開発の『研究者』達が主眼においているのは


『どうやれば能力者のレベルを上げることが出来るのか』であって


『なんでコイツだけレベルが下がったか』


 という事にいちいち真相究明する研究価値は皆無なのだと言ったとか言わないとか。

 まぁ、そんなものを解明するよりも。
 当時話題沸騰中の 鈴科 百合子 に研究者達は釘付けだった という事もあり

 つまるところ研究対象外、である。
 なにせ250万人中この現象が起こったのはたった一人だけなのだから。



 俺に言わせりゃそれこそ俺のような特異点の研究の方が――――って、まぁいいさ。

 それでも、そのたった一人はそれで幸せだった。



 自分の能力が『変質』し、能力の対象がお前だけになっている、
 という事をタマキに洗いざらい全て話したんだが、
 言われた当の本人は
「あっそ…で?
『自分の中にある一等輝くそのの苦悩や苦労や不幸を背負って
 ここで朽ちてあの世に旅立とう』とか
 言ってくたばるってんならお好きにどうぞ。
 ま、そんな簡単にくたばれるんならコチラは大歓迎だが。
 ただ、耐え続けることが出来るのであれば、
 別にお前さんのその苦悩のはけ口ぐらいにはなるが?」


 あの時、
 自分が頭を抱えているのってそんなにちっぽけなものだっけ?と
 一瞬錯覚したのを覚えている。
 確かに、ここまでやって来たのだ…そう簡単に首を括ってやるつもりはない。


 あの夏の日は只の偶然だったのだろうか?
 それとも必然だったのだろうか?
 自分では分からない。
 今となってはどちらでもよいことである、
 あの時地味な自分の人生と
 ある二人の人生が交差した事は確かである。





     あの時、交差し離れていった一つの線は結局のところ同じ角度で離れていった

        しかし……またあの日から再びその線と交わる時を俺は知っている


          いま一度、運命というクソッ垂れな振るいに手を伸ばす

             今度も神頼みでなく ハズレ を引くために



                    ――必ず――
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まいど感想ありです。
今までにない遅筆の季節ですいません。

私事ですが、
文字書く暇がねぇー!体力的にも時間的にも!直帰 飯 睡眠を間髪入れずに実行する日々が続いています。頭に入れにゃならん情報量が多くてシヌル。
+この時期に風邪っぽいっつーね!というか風邪だ!頭痛いぜい昨日から。

ということで寝ます。スマソ
うん、オモシロかった。
なんかのエロマンガで、
「オレが死んだらどう思う?」って聞いて、
「別に悲しくはないかもだけど、この季節になって気が向いたらドクダミの花でも添えにいってやるかな」
って感じのシーンがあったんだけど、それ思い出した。

なぜ「変質」したのかがこの先の話と絡んでくるかどうかが気になるところ。
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コレといって固定はないです
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超弩マイペース。
自分のペースを乱されると拗ねて
寝ます。
血液ゲノムで天然B型と発覚
「こ、こいつ…先の行動が読めねぇ(汗)」だそうです
血液ゲノムとか信用すんな。
血液型占いとか信用すんな。
人を信用すんな